同じ料理で同じ量の食事を食べていても、太る人とそうでない人がいます。実は太るか太らないかには、食事の食べ方に秘密が隠されていることをご存知でしょうか。
一般的にいわれている「早食いは太る」「野菜から食べると太りにくい」などの情報には、しっかりとした根拠があります。
今回は、男性が注意したい太る食べ方や、太る食べ物の特徴について紹介します。忙しいビジネスマンでも実践できる太りにくい食事について、スポーツジムで栄養指導を行う現役の管理栄養士が解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
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男性の太る食べ方は「咀嚼」「ペース」「順番」に注意
太る食べ方を知らずに「自分は太っていないから大丈夫」と安心していると、知らず知らずのうちに太りやすい体質へとどんどん近づいてしまいます。
男性が気を付けるべき食事方法をしっかりと身に付け、実践しながら肥満を予防していきましょう。
男性が注意したい太る食べ方には、以下が挙げられます。
- 咀嚼(噛む回数)が少ない
- 食べるペースが速い(早食い)
- メインのおかずや白米を先に食べる
咀嚼はカロリーを消費するうえに効率的な栄養吸収につながる
「食べ物を口に入れたら30回は噛みましょう」という言葉は、子供のころからよく耳にしてきたと思います。この言葉は、健康を維持するうえでとても重要な言葉です。
私たちは、噛む動作でもエネルギーを消費しています。つまり、噛めば噛むほどエネルギーを使い、カロリーを消費しているということです。
また、よく噛むことで胃での消化時間が短くなり、身体が速く効率よく栄養を吸収できるようになります。このように、良く噛んで食べることは体にメリットしかないのです。
仕事が忙しかったり付き合いの会食が多かったりするビジネスマンは、流し込むように食事をしがちです。よく噛むことを意識するだけでも、肥満対策効果はしっかりと得られます。
早食いは満腹感を得づらい
早食いの習慣がある人には肥満者が多いという、非常に興味深い結果が近年の疫学調査で報告されています。[注1]
早食いの人は現在のBMI(肥満度)が高い傾向にあること、更には20歳時点からのBMI増加量も高いことが明らかとなっています。
私たち人間は、食事を始めてから脳が満腹だと感じるまでに、15~20分かかるといわれています。食事を15分以内で済ませてしまう人は、満腹だと感じる前に食べ物を詰め込んでしまうため、食べ過ぎてしまう可能性が高いのです。
ランチの時間を惜しんで仕事に打ち込むビジネスマンの中には、5分で食事をかき込んでしまう人もいるでしょう。この食べ方では太りやすくなってしまうため、食事はゆっくりよく噛み、最低でも20分かけて摂取することをおすすめします。
食べる順番は食物繊維豊富な野菜やきのこから先に摂取する
近年言われ始めた「ベジファースト」。食べる順番によって太り方が変わってくる大きな原因には、血糖値が関連していることが考えられます。実際、血糖値の上昇と肥満は医学的にも大きく関係しており、急激な血糖値の上昇を防げば肥満予防が期待できます。
急激な血糖値の上昇を防ぐ理想の食べ方の順番は、食物繊維が豊富に含まれる野菜やきのこを先に食べ、次に肉や魚、大豆製品、最後にごはんや麺などを食べる流れです。
忙しいビジネスマンは、メインや主食から食べ始めて早く食事を済ませようと考えてしまいがちです。しかし、食べる順番を考えるだけで太りにくくなるため、今日からやって損はないでしょう。
健康の大敵!男性が太りやすくなる3つの食べ物
太らないためには食事の仕方だけでなく、口にする食べ物にも注意しましょう。
とくに男性が好む傾向にある高カロリー、高糖質、高脂質な食べ物は、食べすぎに気をつける必要があります。
カロリーは成人男性であれば2,200±200kcalが目安
人は1日に消費できるカロリーがある程度決められています。これは一般的に基礎代謝量と呼ばれており、1日生活しているだけで消費されるカロリーのことをいいます。
1日の生活で必要なカロリーは、日常生活や運動の頻度によって異なりますが、成人男性の場合2,200±200kcalが目安とされています。[注2]
この基礎代謝量以上のカロリーを摂取すると、消費されなかった分が脂肪へと変わり太ってしまうのです。
糖質は菓子パン・イモ類などの多量摂取に気をつける
糖質制限ダイエットが流行ったことで、「糖質が多い=太る」ということは多くの男性がご存知でしょう。糖質は、私たちが生きていくうえで必要な栄養素のひとつなので、まったく摂取しないと不健康やパフォーマンスの低下へとつながります。
それでは、なぜ糖質の多いものを摂取することが太ることにつながるのでしょうか。その理由は、体内の栄養吸収のメカニズムに隠されています。
食事で摂取した糖質は体内でブドウ糖に変換され、必要な分だけ活動するエネルギーに使用されます。しかし、余ったブドウ糖は消費されないため脂肪となっていくのです。また、糖質の過剰摂取は血液へも影響を及ぼし、ドロドロの血液を作り出してしまいます。
ビジネスマンに多い太りやすい食事の悪い例が、昼食を菓子パンや麺だけで済ませる食事方法です。丼物や麺類、パン(とくに菓子パン)、イモ類、菓子類の多量摂取には注意が必要です。
脂質は1g当たりのカロリーがタンパク質・脂質の倍以上
脂物はカロリーが非常に高いため、過剰に摂取すると太ります。
以下のとおり、脂質はタンパク質や糖質と比較して1g当たりのカロリーが倍以上高いです。
【主要栄養素のカロリー】
- 脂質1g=9kcal
- 糖質1g=4kcal
- タンパク質1g=4kcal
このことから分かるとおり、脂質ばかり摂取しているとそれだけでカロリーがアップしてしまい、太ることにつながってしまいます。
揚げ物や、多くの油で炒める中華料理、背脂たっぷりのラーメンなどは脂質が多くカロリーが高いです。仕事で忙しくて外食が増えたり会食が多かったりするビジネスマンであっても、脂質が多い食事は控えるようにしたほうがよいでしょう。
男性の太りにくい食べ方のコツはバランスのよい食事を心がけること
男性の太りにくい食べ方としてもっとも大切なのは、「バランスのとれた食事を心がけること」です。
古くから一汁三菜と言われるように、バランスのとれた食事は満腹感を得られやすく、太りにくい食生活につながります。取引先との会食に行く際も、メイン料理ばかりを選ぶのではなく、サラダや小鉢、スープや味噌汁を追加してみましょう。サラダなどを先に摂取することで、満腹感が得られて血糖値の上昇も抑えられます。
また、1食あたりのバランスだけでなく、朝昼晩3食のバランスも重要です。3食のカロリーバランスは以下のような割合が理想です。
- 朝食:3
- 昼食:4
- 夜食:3
【朝食】1日活動するうえで重要なエネルギー源
朝食で摂取したカロリーは、1日のビジネス活動で必ず消費されると考えてよいでしょう。カロリーや糖質の高い、乳製品や果物などを朝食に取り入れるのも望ましいです。
【昼食】1日のうちで最も代謝が活発な時間
昼食は1日のうちでカロリーを1番多く摂取してください。そうはいっても、やはりバランスが大切です。外食が多いビジネスマンはメイン料理だけではなく、野菜や副菜を十分に取り入れることを意識してみてください。
【夕食】体を休める前の1日の最後の食事
夕食を過剰に摂取することは、1番太ることにつながります。会食やコンビニ食が多いビジネスマンは、とくに胃に負担となる脂っこいものを避けて、腹八分目を目指すことが重要です。
男性が太りにくい調理方法は「ゆでる」
カロリーが低い順の調理方法は「ゆでる<網焼き<蒸す<煮る<炒める<揚げる」の順といわれています。
なかでも油を使わない、蒸す、茹でる料理が低カロリーです。網焼きは余分な油分が下に落ちるため、カロリーが抑えられます。煮物は油を使用しないのでカロリーが抑えられると思われがちですが、味付けをする砂糖などがカロリーをアップさせてしまいます。
調理方法ひとつでカロリーを抑えられるので、自炊する男性は今日からでも実践しましょう。
太りにくいは自分で身につける!オンライン食事指導サービスの利用もおすすめ
男性の食事改善で重要なことは、自分自身の食生活を見つめ直すことです。そこから改善点を見つけ、太りにくい体へ近づく一歩を踏み出しましょう。
継続のポイントは、ビジネスと両立しつつ無理なくできることから行うことです。食事を通じて、体型維持やパフォーマンスのアップを目指していきましょう。
ご自身での管理が難しい男性には、オンライン食事指導サービスの利用がおすすめです。専門知識を持ったプロが食事指導を行うため、無理なく健康的な身体づくりを行えるでしょう。
メンズ専用サロンのトランザットが提供するオンライン食事指導サービスでは、遺伝子検査・腸内フローラ検査を行います。人それぞれの体質を把握したうえで進めるため、効率的に食事改善ができます。毎日の食事を専門家がサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
[注1]厚生労働省:e-ヘルスネット 速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」
[注2]農林水産省:一日に必要なエネルギー量と摂取の目安